ん…。
まだハッキリしない意識。
…前にもこんなことがあったような。
いきなり倒れちゃって、でも誰かに送ってもらった記憶が…。
誰…だっけ?
……村田くんだ。
そう、村田くん!
村田くんにおんぶしてもらって送ってもらったんだ。
じゃあ…今も誰かが送ってくれてるのかな?
…ダメ、だ。
頭が回らない。
何も…考えられない。

意識が途切れそうになった時。
夜風とともに心地いい匂いが私を包んだ。
この匂い…落ち着く。
桜の…香り?
私この香り…大好き、だな。
心がポカポカする。

もっと匂いを感じていたかったのに…。
なんでかな?
また眠くなっちゃった。
ゆっくりと頭が真っ白になっていく。
意識が完全に消えるという時だった。

ん……。
くる…しい。
息が、出来ない。
口が塞がれていた。
何で塞がれているのかはわからない。
でも、確実に口は塞がれていた。
な、に?
苦しい…。
も、ダメ…。
そして、そこで意識は途切れた。


…眩しい?
バッと飛び起きる。
えっ?
今、何時!?
まだ瞳が慣れていないから、片瞳を開ける。
ここ…。
辺りを見渡した。
私の部屋?
薄いピンクや白を基調とした部屋。
確かに…私の部屋だ。
なんで?
まだ少し眠たい瞳を擦る。

昨日のことを思い出す。
歩美ちゃんを探して、見つけて、2人と合流して、倒れちゃった後…。
あれ?
その後のことが思い出せない。
ん~~!
頑張って思い出そうとしても…思い出せない。
腕を組んで考えてみる。
…だけど思い出せない。
1人で唸っていると。
コンコン。