「友美!竹井くん!」
ニコニコしている友美の隣には呆れながら私を見ている竹井くん。
「早いね!2人共」
「まぁね」
「急いだからな」
…それにしても早い。
歩美ちゃん幸せ者だね。
…って肝心の歩美ちゃんがいない。
まだ後ろにいるのかな?
バッと振り返る。
まだ突っ立っていた。
歩美ちゃんに駆け寄る。
ギュッと歩美ちゃんの手を握り、2人のもとへ駆け足で戻る。
「手…離して」
ボソッと言われた一言だったけど、私は聞き逃さなかった。
「や~だ!」
「離して」
グイグイ、手を離そうとしてくる。
私はそれに反応し、ギュッと更に強く握る。
「やぁだよ♪」
「は~な~し~て~!」
ブンブン、腕を振ってくる。
それにも負けない私。

いきなり動きが止まった。
歩美ちゃんを見上げると…。
なるほど!
顔が綻ぶ。
そこには、歩美ちゃんの頭をポンポン叩く友美と竹井くんがいた。
歩美ちゃんは俯いていて、照れてるようだった。
大好きな2人に触れられて嬉しいんだね♪
私も大好きな人に触れられたら…嬉しくなるもん。
一瞬、昔のことが脳裏に浮かんだ。
ブンブン
昔を消し去るかのように、首を横に勢いよく振る。
すると。
何故か辺り一面がぼや~と霞んできた。
あ、れ?
なんか…立ってらんない。
パタッ
足から崩れていき、その場に倒れてしまった。
薄れていく意識の中で、私は昔を思い出していた。
誰かが私の名前を呼び続けている。
だ…れ?

そこで私の意識は途切れた。