数十分後……。

「ハァハァ。疲れた、ここだよ」
「ハァ、ハァ。やっと…着いた」
歩美ちゃん家の前では、竹井くんが待っていた。
「お疲れ…。歩美は…まだ帰ってないらしい」
すごく悲しい顔をしていた。
「歩美ちゃん…大丈夫かな」
自分の両手を握りしめる。
「…早く探そうよ!」
友美が急かす。

竹井くんは考える素振りを見せた。
「…じゃあ、手分けして探すぞ!」
「「うん!」」
私達は同時に頷いた。
「俺はこっち」
「あたしはこっち行く!」
2人はお互い逆方向を指差していた。
「じゃあ、私は…こっち!」
竹井くんは右、友美は左、私は真ん中。

「じゃあ見つかったら連絡くれ!」
「了解!」
言い終わると走り去った。
「わかった!」
私も探しに行こうと足を1歩踏み出した時。
パシッ
「えっ…?」
「…気を…つけろよ」
手首を掴まれた。
顔を真っ赤にして、今にも消え入りそうな声で…呟いた。
竹井くん…?
「…う…ん」
私も真っ赤になってしまった。
「じ、じゃあ…」
パッと竹井くんが離れた。
そして、走っていってしまった。

竹井くん…。
竹井くんの後ろ姿を見つめながら、掴まれた手首を手できゅっと握る。
何故か…熱かった。
…って!
歩美ちゃん探さなきゃ!
と思い、走り出した。
「ここは…公園?」
走り出したのはいいが、すぐに立ち止まった。
こんな所にいるのかな?
1歩ずつゆっくり、歩美ちゃんを見逃さないように辺りを見渡した。

暗くなっていたので、遊具で遊んでいる声は聴こえなかった。
しかし、奥の方ですすり泣いているような音が聴こえた。
ビクッ
ま、まさか…。
幽霊!?
音のする方へ耳を傾けながら、ゆっくり近付いて行った。
「ゆ、幽霊さ~ん…?」
体を縮こませながら、1歩…また1歩と足を動かした。