歩美ちゃんは2人が近付いてきたことに驚いている。
「「歩美…」」
「咲月のこと」
「南美のこと」
「泣かしてないでしょーね!?」
「泣かしてねぇだろーな!?」
す、すごい…。
全部ハモってる。
なんか、羨ましい…かも?
「…ょ」
歩美ちゃんは俯いていて、声が聞こえない。
「「はぁ?」」
2人は早く言え、と言わんばかりの口調だった。
「……でよ。何、でよ。何でよぉ!!」
私達3人はギョッとした。
だって…泣いてるんだもん。
バッと顔を上げた歩美ちゃんの瞳は、真っ赤になっていて。
涙が溜まっていた。
「おい?」
「歩美…?」
歩美ちゃん…。
「なんで…。いっつも、南美さんばっかりなの?」
え…?
「全部、全部全部!南美さんが取っていく…」
私達3人はじっと歩美ちゃんの言葉を聴いていた。
「……南美さんなんて!いなくなっちゃえばいいのに!!!」
!!
そう言ってこの教室から出て行った。
「歩美!…咲月にそんなこと」
「お、おい!」
竹井くんは友美の言葉を遮り、私を指差した。
「咲月!!」
ぎゅっと私を抱き締めてくれた。
「うぅ…友美ぃ~!」
ぎゅっと友美を抱き締め返した。
「よしよし。大丈夫だよ、咲月。だから泣かないで?」
「おい?」
「しっ!静かに」
「わ、わりぃ」
友美は私が泣き止むまで頭を撫でてくれていた。
まぁすぐに泣き止んだんだけどね…。
「やっと泣き止んだか」
そう言って頭をくしゃくしゃ撫でてきた。
「むぅ~。もう大丈夫だよ、ありがと♪」
少し頬を膨らませて、髪を手で整えた。