ふぁ~。
眠い。
学校なんてメンドくさい。
でも…。
学校にはあいつがいるから、まぁいっか。
それに部活も楽しいし。
勉強はメンドイけど。
あくびしながら校門を入った。
すると、普段この時間に見ない奴の姿を見つめた。
なんかスゲー考え込んでるよ…。
そいつの背中に向かって俺は叫ぶ。
「お~い、翔ー!」
すると、翔はバッと俺の方に振り向いた。
「…あ。優馬」
翔は眠そうにしていた。
あって何だよ、あって!
俺はちょっと不機嫌になりながら翔の方へと駆け寄った。
翔はクマが出来ていた。
昨日何かをしていたのだろう。
「おはよー。優馬」
「おはよ!…お前大丈夫か?クマ出来てるぞ?」
「まじ!?うわ、最悪…」
翔はエナメルから手鏡を取り出し自分の顔を見た。
…。
手鏡ってお前、女かよ!
心ん中で翔にツッコミを入れた。
「つかお前、なんで今日こんな遅いんだ?」
まぁだいたいの予想はつく。
何かしてて寝坊した
だろーな、どうせ。
でもその〈何か〉が聞きたい。
「あ~。考え過ぎた…かな」
「何考えてたんだよ?」
翔は顔を曇らせた。
「…なんでもねぇよ」
顔を曇らせていたのにいきなり真剣な顔つきになった。
な、何だよ…。
んな真剣な顔されたら理由聞けねぇじゃんか。
翔はあまり真剣な顔にならない。
いつも皆の前ではニコニコしてる良い奴を演じてる。
でも裏は俺様な奴。
こいつおもしれぇんだよな。
猫被ってて。
俺はふっと笑い声を漏らした。
翔は気づいていなかった。
下駄箱で俺達は靴を上履きに履き替えた。