そんな私に気づいた人が1名…。

「…なんで俺、笑われてんの?」
…えっ?!

生野くんが突っ伏した状態で、顔を私の方に向けていた。

私は声が出なくてアワアワしていた。

「…ぷっ」
…はぃ?
なんで笑ってんの…?

「そんな慌てる事ねぇだろ?」
た、確かに…。

こんなに慌てなくても…
と自分で思う。

「…何か俺、おもしろい事した?」
「えっ!あ、違くて」
私達は先生に怒られないように小声で話した。

「じゃあ、何?」
生野くんはキョトンとしていた。

「えっと。生野くんが、お兄ちゃんとすごく似てるからおかしくなっちゃって」
と私は素直に、しょーーじきに話した。

「…え?俺が?お前の兄ちゃんに似てる?」
私はこくんと頷いた。

「…んなわけねぇじゃん。俺が南美先輩に似てるわけないない」

私は首を勢いよく横にブンブン振った。
「ううん!すっごく似てるの。やんちゃなとことか、スポーツ大好きなとことか♪」

私が生野くんの言葉を全否定した。

早口になっちゃったよ。

生野くんは瞬きせずに私をじっと見ていた。
私…
何か変な事言ったかな?

そう不安に思っていたら、生野くんが笑い出した。(小声で)

へっ?
笑ってる?
何で?
私、何もおもしろい事言ってないんだけど…。

「…南美って優しんだな♪俺が南美先輩に似てるって言ってくれるなんて。お世辞でも嬉しいよ」

生野くんはフワッと微笑んだ。