壁と浅緋に挟まれて

逃れられない私。

見つめる浅緋の瞳をこんなにも
怖いと思ったのは初めてで
私は動揺を隠せない。

「そう・・・じゃないよ
 そうじゃないけど
 おかしいよ、先生・・・
  
 こんなことするなんて
 こんなところ誰かに
 見られたら
 教師を辞めなきゃいけないよ
 アッちゃんの夢
 だったでしょう?
 教師になるの・・・
 だからお願い、やめて
 続けられなくなるよ」

私の頬を流れる涙・・・

苦しい涙

浅緋は、私がもたれる
左横の壁に、右手の拳を
打ちつけた。

怖い・・・

「くそっ
 教師なんか辞めたっていい 
 お前が手に入るなら
 全てを捨てても構わない」

浅緋の言葉に驚く私は
言葉が出ない。

彼は今、何て言ったの?