『もう行かないと。彼女が待っているんだ。』

向こうに浮かび上がる、女性の影。金髪の女…。
彼はその人のところにまっすぐと進んで行く。

――彼女って…

そんな女、認めないっ!私のどこがその子に劣ると言うの!?
待って、話しを聞いて!やめてよ、そんな人に触らないで!

必死に叫んでるのに、声が届かないの?
走っていきたいのに、足が動いてくれない。
そんな女を見て、私の大好きな笑顔で笑わないで!

あなたの隣で笑うのは私なのよ!

『さようなら、……。』

――いやっ!いやよ!絶対に認めない。

2人の姿が闇に消えていく。
どれだけ手を伸ばしても、行ってしまう。
涙が頬をつたって落ち、足元で弾けた。