三日後。
ガルの傷もすっかり良くなり、マティリに操られたのはともかく、人魚の血については説明しづらかったが、まんまと魔女の企みに使われたお詫びと元に戻してもらったお礼も兼ねて、詳しくは聞くまいとダートンは納得してくれ、いよいよナツナ島を発つこととなった。

「短い付き合いだったが、それなりに貴重な体験をさせてもらったな。」

ダートンがシーファに手を差し出す。

「握手ぐらいはいいだろ?」

突然投げられた言葉に、ガルは照れ臭そうに鼻の頭を掻いた。
訳の分からないやり取りに、首を捻りながらもシーファはその手を握り返す。

「この俺が宝を取り逃すなんざ、めったにねぇんだぞ。」

あの笛も惜しかったし…と、壊れてしまった魅音の最期を思い、ダートンは肩をすくめた。

「いろいろ、ありがとう。その…巻きこんだみたいでごめんなさい。」

「いや、さっきも言ったが、貴重な体験したんだ、海賊にとってこれほどの事はねぇよ。
後味の悪い殺しもしなくて済んだし。」

そう言いながら、ガルの前にも手を差し出す。