「こっち…向いてくれ…。」

真っ赤であろうシーファの頬を両手で優しく包み込み、ゆっくりとこっちを向かせる。

いつもは上を向いている長い睫毛が、下を向いている。
力の向きを変えて、上へと促すのと同時に、覗きこむようにすると、やっと目が合った。

大きくて潤んだ瞳がガルの目を捉えると、またすぐ下を向く。

シーファは目を閉じたまま、大きく深呼吸を２回繰り返すと、目を開けてにっこりと微笑み、すっと顔をガルの耳元に寄せ、


「…私も…」


そう呟いた。

ガルはくらくらとめまいのような感覚に襲われ、力任せに引き寄せたい衝動に刈られながらも、それを押しこめ、ゆっくりと顔を近づけていく。

ガルが何をしようとしているのか悟った、というか同じ気持ちのシーファの睫毛が、ゆっくりと降りた。