月明かりがガルの病室を明るく照らす。
村唯一の診療所の一室にガルは運び込まれた。
傷の大きさと、すでに塞がりかけているのに、記憶が戻ったばかりの医者は目を丸くしたが、適切な処置を施し、入院させてくれた。

小さな音を立てて、ドアが開く。
静かにドアをしめ、ベッドの横に座るシーファの姿を月明かりが優しく照らしだした。

眠るガルの胸が規則的に上下している。
そんなことさえも今は嬉しい。

「良かった…ホントに。」

「ああ。」

独り言に返事を返されて、椅子を蹴倒して立ちあがる。

「…驚きすぎだろ?」

「だって、起きてるなんて…」

「今まで寝てたからな。」

「でも、怪我してるんだし、ちゃんと休まないと。」