次の日、朝から賑わいを見せる街を4人は歩いていた。目的である聞きこみの為だ。
露店が立ち並び、どこからも元気な声が聞こえている。
きっと今朝取れたばかりの魚を売ったりしているのだろう。

「なんか、懐かしいね。」

脈絡のない言葉に、3人は少し後ろを歩いていたシーファを振り返る。
シーファは視線をぐるっと泳がせて続けた。

「こういう感じ。テラカイズ島の街に良く似てる。」

「そうね、街の作りは違うけど、港があって、こうやって露店がずらーって並んでたわよね。」

ニーナが答えると、シーファは嬉しそうにうなずいた。

テラカイズ島というのは、シーファが3人に出逢った島の名前だ。
シーファはそこで自分の身分、トイス王国の王女であるということを隠し、生活していたのだった。
街の皆はとても親切で、素性が分からないシーファに対しても、優しく接してくれていたし、そんな優しさに応えようとシーファは島の孤児院で働いていた。