―――あの女も同じ…仲間に忘れられて悔しいくせに…。
まさに、あの王家そのままの偽善に満ちたことをほざいていた…。

永い時を超え、やっと向かえた至福の瞬間はすぐそこにある。


…殺してやる。


その偽善が自分の喉を掻き斬ることになるなんて、思ってもいないだろうさ!―――

暗闇の中で妖しく光る笛を手に、女はゆらりと顔を上げた。
ぼんやりと見えるドアが小さな音を立てて開く。

―――こうして良き“協力者”にもめぐり合えた…。
もうすぐ…もうすぐだ…―――

開いたドアの向こうには、一つの影が立っていた。
女が差し出された手を取ると、小さな部屋に暗闇だけを残して、ドアを閉めた。