「ニーナ。ガルは？」

熱を出して四日目。シーファはやっと目を覚まし、水とご飯を運んできたニーナにそう聞いた。
しかし、ニーナは大丈夫よ、と言うが、その表情の固さに小さく溜息をついた。

「まだ、気にしてるのね？」

シーファは眉をしかめると、ベッドから起き上がろうとした。
慌てて止めようとするニーナに笑顔を向けると、シーファは部屋を出て、久しぶりに海の風を頬に感じた。

「シーファ！もういいのか？」

リュートが駆け寄る。顔一杯に笑顔を見せて、まるで尻尾を振った子犬のようだ。
その子犬なリュートをバンズがとても愛しい目で見つめていたのは置いといて、シーファは笑顔を返すと、ぐるりと甲板を見まわした。やはりそこにガルの姿は無い。