リュートは必死でもがいた。でも、がっちりとした腕はしっかりと頭と腰を固定されて離れないし、完全に口を塞がれてどんどん酸素が足りなくなる。全く気持ち良くないその感触に、もう、死ぬ…と思った所でようやく解放され、リュートは思いっきり息を吸いこむ。

「ああ。苦しかったか?」

これからは鼻で息しろ。と大きな手で頭を撫でられる。バインはニタリと笑って、ペロリと舌なめずりをして見せた。



「うぎゃああああああああああっ!!」



その時のリュートの叫びに、遥か上空を旅する渡り鳥の群れが驚いたとかそうでないとか…

「あ、気を付けろよ?バンズは男好きだからな。」

「って、遅いわっ!」