暗い…ただ闇が広がっている海の底。
何も見えず、聞こえるのは自ら張った結界が放つ轟音のみ。
その場所で、<彼女>の瞳が光を放った。
憎しみに染まったその瞳を歪ませて、闇の向こう側を睨みつけた。

――――……感じる……おぞましき、一族の波動。
……聞こえる…何も知らずに、笑う声。

憎き敵、私の永遠の敵。

気が遠くなるほどの長きに渡り、この時を待っていた。

奴に復讐する時を!!――――

<彼女>は腹の底から、憎しみに染まった声をあげた。
その声は衝撃波となって八方に散り、結界を上下に切り裂いた。

全てを出し切った後、ゆっくりと息を整えていく。