次はいよいよ女性陣の番になった。
トップバッターは、あたし達に気を使ってくれたのか、例の受付の彼女が自分から進んで名乗り出てくれた。
「えっと…稲葉聡美(いなば さとみ)です…。H工業大学建築科の2年です…。よろしくお願いします…」
意外に聡美さんは人見知りなのか、それともこういう自己紹介の場が苦手なのか、視線を足元に移しながらたどたどしい口調で言った。
あたしは少し、そんな彼女に親近感が湧いた。
そう言えば前回の【ブルーキャッツ】でのライブの時、チケットの受付をしてもらった際、割りと無愛想だった事を思い出した。その時はこんなフランス人形みたいな綺麗な顔をしているんだから、ニコニコしている必要なんてないんだなと思ったけれど。
「すごいな、建築科だって」
「今流行りの理系女子ってやつ?ってか聡美さん可愛い!食べちゃいたい!」
それを聞いて素直に感心する千晶の横で、彼女の可愛らしさをまどかが無邪気に称えた。
「いえ…そんな…。でも、ありがとうございます…」
それを聞いて、聡美さんは照れた様にうつむきながら、長い掻き上げた。
その仕草がなんだかとても可愛らしく思えた。
「だろー。ちなみに俺の彼女だから、お触り厳禁ですよー」
「えぇ!そうなんだ〜」
「もう3年ぐらい付き合ってるんだっけ?」
先程の自分の台詞を真似されたからか、明が琉斗の尻に蹴りを入れながら聞いた。
「まぁな、って言うか、元々俺達家が近所で幼なじみだから」
「すっごーい!純愛〜!!」
明の蹴りを完全に無視し、琉斗はいやに自慢気に話す。まどかが大袈裟に反応するのも、彼を助長させる一因だろう。
あたしはそれを見て、以前テレビで放送された、とある街で観光客を襲ったり、土産屋から商品を奪う野生の猿が問題になっていると言うニュースを何故か思い出した。
でも、小さい頃からの友達という存在がいないあたしは琉斗と聡美さんの関係が羨ましかった。
あたしも、いじめられていた小中学校時代に、琉斗の様に守ってくれる幼なじみがいたらどうなっていただろうか?
まぁ当時のあたしは根暗そのものだったから、フランス人形どころか、さしずめ自然と髪が伸びてくる不気味な日本人形と言ったところだが。
「よし、じゃあ次!そこのピチピチ三人娘!頼むよ〜!!」
いつの間にか日本酒の一升瓶を片手に持つ海が、あたし達三人を指差す。
これも明から聞いた話だが、海は一升瓶を二時間で空にするらしい。
彼の身体の中には、血液の代わりに酒が流れているのではないだろうか。
「はーい!F女子大学英文科1年の武田まどかです!まだピチピチ18歳です!あたしと千晶と杏子は、高校2年からの付き合いで大親友3人組なんです!よろしくお願いしまーす!」
まどかがニッコリ微笑みをたたえながら、ポーズまで決めて元気いっぱいに答える。
男性陣は、おおーっと歓声を上げ、そんなに叩いて手が痛くなるんじゃないかと思うぐらい大きな拍手をする。琉斗に至っては、口笛なんかも吹いている。
そんな彼を、聡美さんは拍手をしながら、またも呆れた様に見ていた。
見た目はさっぱり釣り合っていないが、意外に二人は互いの欠点を補えるカップルなのかもしれない。
「すげー、F女子大だって」
「お嬢じゃん」
「まどかちゃんって彼氏いるのー?」
明以外のフェニックスのメンバーが次々に口を開いた。最後の質問は、海からだった。
自己紹介をしようと言う段階で既に怪しかったが、だんだんあたしの苦手な場の雰囲気になってきた。
「えー今はいません!募集中で〜す」
「マジ!?じゃあ俺とかどう!?」
まどかが満面の笑みで答えると、海が名乗りを上げた。すると明と琉斗に「未成年に手ぇ出そうとすんなや、オッサン」と頭にゲンコツをお見舞いされていた。
次は千晶の番になった。
「中田千晶です。今は美容師になる為の専門学校に通っています。よろしくお願いします」
またも男性陣からの拍手と歓声、琉斗からの口笛が沸き起こった。
本当にフェニックスの面々は、ライブ以外でも盛り上げ上手だ。
「未来のカリスマ美容師だね!」
「千晶ちゃんイケメン女子!」
「宝塚に入ったら、トップスターになれるんじゃね?」
またもメンバーが口々に言い、最後に海が一升瓶をラッパ飲みしながら「じゃあ、そうなったら俺、千晶ちゃんのヒモになるわ」とのたまった。
その後に明と琉斗から、今度は慎も入れて3人がかりで海へ突き飛ばされたのは言うまでもない。
トップバッターは、あたし達に気を使ってくれたのか、例の受付の彼女が自分から進んで名乗り出てくれた。
「えっと…稲葉聡美(いなば さとみ)です…。H工業大学建築科の2年です…。よろしくお願いします…」
意外に聡美さんは人見知りなのか、それともこういう自己紹介の場が苦手なのか、視線を足元に移しながらたどたどしい口調で言った。
あたしは少し、そんな彼女に親近感が湧いた。
そう言えば前回の【ブルーキャッツ】でのライブの時、チケットの受付をしてもらった際、割りと無愛想だった事を思い出した。その時はこんなフランス人形みたいな綺麗な顔をしているんだから、ニコニコしている必要なんてないんだなと思ったけれど。
「すごいな、建築科だって」
「今流行りの理系女子ってやつ?ってか聡美さん可愛い!食べちゃいたい!」
それを聞いて素直に感心する千晶の横で、彼女の可愛らしさをまどかが無邪気に称えた。
「いえ…そんな…。でも、ありがとうございます…」
それを聞いて、聡美さんは照れた様にうつむきながら、長い掻き上げた。
その仕草がなんだかとても可愛らしく思えた。
「だろー。ちなみに俺の彼女だから、お触り厳禁ですよー」
「えぇ!そうなんだ〜」
「もう3年ぐらい付き合ってるんだっけ?」
先程の自分の台詞を真似されたからか、明が琉斗の尻に蹴りを入れながら聞いた。
「まぁな、って言うか、元々俺達家が近所で幼なじみだから」
「すっごーい!純愛〜!!」
明の蹴りを完全に無視し、琉斗はいやに自慢気に話す。まどかが大袈裟に反応するのも、彼を助長させる一因だろう。
あたしはそれを見て、以前テレビで放送された、とある街で観光客を襲ったり、土産屋から商品を奪う野生の猿が問題になっていると言うニュースを何故か思い出した。
でも、小さい頃からの友達という存在がいないあたしは琉斗と聡美さんの関係が羨ましかった。
あたしも、いじめられていた小中学校時代に、琉斗の様に守ってくれる幼なじみがいたらどうなっていただろうか?
まぁ当時のあたしは根暗そのものだったから、フランス人形どころか、さしずめ自然と髪が伸びてくる不気味な日本人形と言ったところだが。
「よし、じゃあ次!そこのピチピチ三人娘!頼むよ〜!!」
いつの間にか日本酒の一升瓶を片手に持つ海が、あたし達三人を指差す。
これも明から聞いた話だが、海は一升瓶を二時間で空にするらしい。
彼の身体の中には、血液の代わりに酒が流れているのではないだろうか。
「はーい!F女子大学英文科1年の武田まどかです!まだピチピチ18歳です!あたしと千晶と杏子は、高校2年からの付き合いで大親友3人組なんです!よろしくお願いしまーす!」
まどかがニッコリ微笑みをたたえながら、ポーズまで決めて元気いっぱいに答える。
男性陣は、おおーっと歓声を上げ、そんなに叩いて手が痛くなるんじゃないかと思うぐらい大きな拍手をする。琉斗に至っては、口笛なんかも吹いている。
そんな彼を、聡美さんは拍手をしながら、またも呆れた様に見ていた。
見た目はさっぱり釣り合っていないが、意外に二人は互いの欠点を補えるカップルなのかもしれない。
「すげー、F女子大だって」
「お嬢じゃん」
「まどかちゃんって彼氏いるのー?」
明以外のフェニックスのメンバーが次々に口を開いた。最後の質問は、海からだった。
自己紹介をしようと言う段階で既に怪しかったが、だんだんあたしの苦手な場の雰囲気になってきた。
「えー今はいません!募集中で〜す」
「マジ!?じゃあ俺とかどう!?」
まどかが満面の笑みで答えると、海が名乗りを上げた。すると明と琉斗に「未成年に手ぇ出そうとすんなや、オッサン」と頭にゲンコツをお見舞いされていた。
次は千晶の番になった。
「中田千晶です。今は美容師になる為の専門学校に通っています。よろしくお願いします」
またも男性陣からの拍手と歓声、琉斗からの口笛が沸き起こった。
本当にフェニックスの面々は、ライブ以外でも盛り上げ上手だ。
「未来のカリスマ美容師だね!」
「千晶ちゃんイケメン女子!」
「宝塚に入ったら、トップスターになれるんじゃね?」
またもメンバーが口々に言い、最後に海が一升瓶をラッパ飲みしながら「じゃあ、そうなったら俺、千晶ちゃんのヒモになるわ」とのたまった。
その後に明と琉斗から、今度は慎も入れて3人がかりで海へ突き飛ばされたのは言うまでもない。