「んー、慄梛ちゃんを捜すか!!」

「じゃ、俺はあっちにいる人に話聞いてくる!」

「何か解ったら連絡な」



慄梛の写真を各自持って手当たり次第聞き周り始めた…



夏休み中、聞き回って得た情報は、なに一つ
慄梛に結び付くものはないもなくて
もう慄梛を諦めろとでも言われてるように
ただ時間だけが虚しく過ぎていった…





―俺はいつになったら慄梛に会える…?
いつになったら幸せに、笑顔にさせてやれる…?
本当に情けねぇー…――


「磨梛抖!!」



駅の方面から走ってくる賢が見え



「どうしたんだよ」

「見たって、見たって」

「解った、解ったから落ち着けって」



言葉を連発して話す賢はかなり興奮状態で…



「落ち着けねぇーよ!!
慄梛ちゃんを見たって人に会ったんだから」

















「えっ…………?」



















「慄梛ちゃんを見たって人がいたんだよ!!」

「ほん、と…?」

俺の言葉に何度も首を縦にふって賢はニコッと笑った


「場所ははっきり覚えてないって言ってたけど、
確かに慄梛ちゃんだって言った!」

「ほんとに別人じゃなく慄梛ってこと…?」

「あぁ、髪色はちょっと違ったみたいだけど…
良かったな!!」





ここは大通りで人通りも交通量も激しい場所…
だけど、賢は何の躊躇もせずに俺を抱きしめ、
















「絶対に元に戻ろな!!!」
















行き交う人が俺達を何度も不思議そうに
見ていたけど、それ以上に嬉しさと
慄梛はどこかにいるっていう変な安堵感で








「絶対、絶対、元に戻ってやる!!!!!」


って、賢と2人で叫んだ


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