暫く歩き辿り着いた場所で聞こえてきたのは
「まなとぉ~♪」
って言う女の声…慄梛の声じゃないのは明らかだ…
慄梛じゃないやつに反応する気もさらさらない
俺は無反応のまま足を更に進めようとするが…
「あたしに逆らっていいと思ってんのぉ~?」
「…どうでも」
「ちょっとぉ!!
自分が何言ってるか解って言ってるのぉ?」
「…ご勝手にもうどうでもいいから」
ピーピーギャーギャー騒いでる魚糠…
「てめぇに逆らっても逆らわなくても慄梛は
…慄梛は俺の隣にいねぇんだよ解ったら行けよ」
「綵に逆らった罰がぁ合ったんだぁ~
そっかぁ、側にはいないんだぁ~?
ふふっ、だからぁ~そんなぁに情けない顔してるんだぁ~」
語尾を伸ばし伸ばしに甘ったるい吐き気を促すような声で話し続け、俺の前から消える気は
全くないようで腕に絡み付いてきた…
「かわいそうにぃ~しょうがないからぁ~
彼女のあたしが慰めてあげるぅ~」
「断る」
「言っておくけどぉ拒否権は一切ないからぁ」
――チュッ――
――パッシャ…―――
と、口のそばを掠っただけだったけど唇が触れた…
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