「あのさ」

「ん?」

「慄ねぇーが出ていく前に話したんだ俺…
その時は、家を出るとかそんなこと言ってなかったのにさ…
何も言わずにいきなりいなくなんのって、慄ねぇーずりぃーよな…」



若干涙声の磨咲飛は俺と同じくらいに慄梛が
いなくなったことにショックを受けていた…



「それにさ、那沙飯も喰わなくてさ…
学校も行ってないんだぜ、慄ねぇーはそんなこと知らねぇーんだろな…」



なにも言わない俺にさらに磨咲飛は続けた…
そう言って気を紛らわしてるような感じだった…



「慄梛も、辛かったんだだから、俺達の前からいなくなったんだよ…」

「兄貴…」

「慄梛に、会いたい…伝えてぇーことあんだ…
…返せよ、返せ!!……」



止まらない本音…止めなきゃいけないと思うのに…
思えば、思うほど止まらなくなっていた…



「慄梛を返せよ!!慄梛が好きなんだよ!!
側にいてもらわなきゃ、俺はダメなんだょ…」

「兄貴!!」

「!!……っ、ごめん…俺、頭冷やすわ…
ははっ、情けねぇーな…今家にはいけねぇーや」



呟きながら来た道をトボトボと進み始めた…





.