「あー、あのぅ…あのぅっ…あのうっ!」

「がぎゃあっ!」

見開いた目に飛び込んだ視界いっぱいの空は雲一つない快晴、目が痛くなるくらいのスカイブルーを展開していて、雲がないわけだから日差しはこれでもかと注がれてるはずなのに、何故か日差しは全く気にならなかった。あぁ、スカイブルー。されどスカイブルー。何故この世に空というものは存在してしまうのか。気持ち悪いぞ。気味悪いぞ。スカイブルーの空。だってお前が青いから海も青いんだぞ。お前のせいで地球は青くなってしまったんだぞ。どうしてくれるんだ。そりゃあ、ドラえもんも青くなるわ。

「あぁ、あっ、竜神さん?」

おい。その忌ま忌ましい名を発したのはどこのドイツバイエルンミュンヘン。

「うっ。影法師さん…」

なんぼなんでも思春期の少女の名前を呼ぶ際に、うっ、と言うのはまずかろう。それに影法師さんは思春期以前にアイスクリームのようなハートを持っている。あぁ、ほら。ショックでハートがとろとろと溶けだしてるよ。そしてそれは涙となって頬を伝い、顎の先からぽたぽたと滴り落ちるんだ。