「うまぁー。この歯磨き粉みたいな味がたまんないわぁー。ってかこの色が好きなんだよな。この色なかなか芸術だよ。こんな色のシャツほしいもんね。もちろん、ボタンダウンね」

竜神の無邪気なこと。夢と全く同じ。つまんない。予定調和なんてうんざりよ。そんなの生きてる意味あるの?どうやら人間の想像し得ることはこの世でほぼ実現可能らしい。それ聞いて心底死にたくなってしまった人はアサだけじゃないはず。いわばこれはアサなりの人類への自尊心。人生に挑戦状をたたき付け、ほーら悔しかったら人間様の上をいくすんごいことしてみなさいよーと常にファイティングポーズ。でもいまだにアサをKOするようなことは起こってはいない。まあ、一度きりの人生との世紀の一戦なわけだから、大層な気合いを注ぎ込んでるアサだし、たった十何年生きただけでKOな出来事が早々起こられても困る。

隣で無意味なことを散々喋りつくしながらも、ちょいちょい合間にぺろんとアイスを舐める竜神の不気味な行動をアサは見て見ぬふりしながら実はガン見してみたりする。

さっきのボディブローは効いたわよ、竜神。

影法師とのキス。

アサは根に持つタイプなのだ。