「ちょっと!」

あ。

足が止まった。

というより。

止められた。

自分でも止められなかった。

なのに他人によって。

アサじゃない他人によって。

止められた。

だって。

ちょっと!

って言われただけじゃない。

トマピョンなんてきっとまだマックの前でアサの名を叫んでるはず。

トマピョンの叫びには止められなくて。

ちょっと!

で、止まっちゃう。

ねえ、これってどういうこと?

竜神。

「アサちゃん、危ないじゃん。信号赤なのにさ。というか街中だしさ。人にぶつかるじゃん。まあ、これでアサちゃんが裸ならストリーキングなんていうちょっと洒落た名がつくけど。そうじゃないじゃん。服着てるし。全力疾走だし。ただの暴走だよね。あ、ごめんね。これはオレなりのアサちゃんへの説教だから」

何もじもじしちゃってんのよ、竜神らしくもない。調子狂うわほんと。だいたい、なんで学校の屋上で影法師とキスしたやつに説教くらわなきゃならんのだ。逆にアサが説教してやりたい。でもしない。アサにとって竜神はアイスクリーム男だから。ただそれだけだから。