「…あたしが?ピエロ?」

トマピョンはもっと俯いてしまった。でも怖ず怖ずと上げられた指に細い栗色のくせ毛を絡ませて、くりくりいじっている。こういう無意識の恥じらい、奥ゆかしさがアサを苛立たせる。女のアサより女。どうしてトマピョンにはおっぱいがなくてチンコがついてるんだろう。そしてどうしてアサには恥じらいや奥ゆかしさがなくて、おっぱいがあるんだろう。

「アサちゃん、頑張ってるよね。みんな知ってるよ。アサちゃんが男の子の性的好奇心をこれでもかというくらいはねつけてるの。でもそれって気持ちだけで、アサちゃんは自分の意志に反して自分を性的な魅力を見せることに無意識に躍起になってるんだよね。だから、クラスの男の子達はあいつ犯っちまおーぜなんて言っちゃってる。意識してる頑張りより、無意識の頑張りが勝っちゃうなんて残酷だよね。せめてアサちゃんがビッチな空気を持ち合わせてなければよかったんだけど」

そんなことはお前に言われんでもわかっとるわ。だからアサはクラスの男子がなだれ込んできても返り討ちにできるように、制服のスカートとお腹の間に果物ナイフを5本忍ばせている。アサは人殺しがしたくてたまらないというひそかな願望があって、正当防衛なら罪に問われない。アサは男子がなだれ込んでくるのを今か今かと待っているのだった。アサの性的な魅力なんてアサのことだから熟知してる。それを逆手に取った作戦なのだ。どうだ。頭いいだろう。