「ごめんなさい…竜神さん…あたし…迷惑だよね…そうだよね…ごめんなさい…ほんとに…あたしの一方的な小さな親切大きなお世話を…でもあたし…どうしたらいいかわからなくて…ごめんなさい…竜神さん…」

影法師さんは穴という穴から一気に得体の知れない液体を流しはじめた。僕にはどうすることもできない。僕には溶けだしたアイスクリームをまた元通り滑らかな固体にするスキルは持ち合わせていない。だけど影法師さんは毎日僕の前に現れて、穴という穴から溶けたアイスクリームを垂れ流すんだ。もしかしたら影法師さんは溶けだしたアイスクリームを元通りにしてほしいのかもしれない。でも僕は影法師さんのアイスクリームは元通りにしたくなかった。元通りにしてもどうせ溶けだす。それならもう一切諦めて、とろとろの液体にしてしまえばいい。それが影法師さんの最善の道。

というのは嘘で。

めんどくせーから完全に溶けるのを待っているだけだった。

ごめんね、影法師さん。