そこまで一気に喋り、その場面を思い出したらしく、オモチャを抱き締めるようにしてぶるっと身を震わせた。


「揉み合ってるうちに、佐藤さんは夫を強く押し、運悪くそれで夫は頭を強く打ったようで……それを見て叫んだ陽矢くんを黙らせようと佐藤さんは無我夢中で首を、締めてしまってたんです……

そして佐藤さんは花菜ちゃんを──佐藤さんは花菜ちゃんという三歳くらいの女の子がいるんですが──その子を思い出したのか、花菜ちゃんの名前を呟くと、自ら首を……

私には止める力もなくて、もうとにかく恐ろしくなって、陽矢くんだけでもなんとかしなきゃと思って、川原へと陽矢くんを……すみませんでした……」


 項垂れた八重子に、風間は穏やかな声で「よく話してくれました」と言い、羽田に向かって合図をした。


 羽田に促され居間を出ていく八重子の背中を見て、風間は小さく溜め息をついた。


 金田の財布に入っていた大量のオモチャのレシートは、陽矢のためだったのか。


 嬉々として買ってやったであろう沢山の服を見て、物悲しい気持ちになりながらその場を後にした。