金田の家の場所がわからないので、一度署に戻ることにする。
署に到着するや否や、金田と佐藤の事件を担当している者のところへ行った風間は、途中で課長に呼びつけられた。
「で、どうだった?」
そうきかれたら答えないわけにいかない。
時間が勿体ないが、仕方なく今まで調べてきたことを課長に報告した。
「そうか。
その佐藤の娘のことなんだが。
どうやら署から引き取られたようだ」
「引き取られた?
まさか八重子じゃないですよね?」
「違う。──榛瀬陽平だよ」
「榛瀬陽平が?」
驚愕した風間に、課長は渋い顔をして頷いた。
「ま、陽矢とかいう子どもと同じくらいの歳だそうじゃないか。
何か思うことがあるんだろう……っておい、聞いてるのか」
課長の言葉を最後まで聞かずに、風間は一礼をして自分のデスクへとつき、榛瀬家へ電話を掛けるために受話器をとった。
課長の言葉が追いかけてきて、その内容に風間は一時受話器を取り落とす。
「それから金田家の現場で、幼い子どものいた可能性があるとわかった」
「……幼い子ども」
──八重子が連れて去った陽矢のことに違いない。