更「飲まないの?」


つ「…いただきます」




更紗さんに呼び出された私は、あれからまた急いで制服に着替え直して寮を出た。


数分後、黒い車が寮の裏口に止まり、私はそれに乗り込んだ。



中に更紗さんはいなくて、運転手さんが私に一言。



運「奥様がお待ちする場所までお送り致します」




と。




そして30分位走らせた所で車は停まった。







つ「高級ホテル…」


運「奥様はカフェにいらっしゃいます」


つ「…あ。はい…ありがとうございました」




車を降り、言われた通りにカフェに向かう。




更「あ、つぐみさん。こっちよ」



白いスーツをビシッと着こなしてソファーに座っている更紗さんが、軽く手を挙げて私を呼ぶ。




つ「…ご無沙汰してます」


更「そこに座って?」




更紗さんが言う通り、対面になる椅子に座る。




更「夏休みなのに制服なのね」


つ「…あ…行き先がどこか分からなかったので」


更「ふふ。賢明ね」



更紗さんは珈琲を飲みながら、足を組む。




更「伊吹さんから伝言。夏休みだからって迂闊な行動は止せだそうよ」


つ「…はい」



迂闊な…ね。


問題なんて起こさないから安心すれば良いのに。