つ「更紗さん!!」



ホテルの玄関を出て、車に乗り込んでいる更紗さんを発見した。



つ「更紗さんっ」



走って車の側まで行くと、後部座席の窓が半分開く。



つ「これっ」


更「病院騒ぎの後、伊吹さんは短期間貴方に興信所を付けたのよ。また騒ぎを起こされたら大変ですからね」


つ「興信…所…?」



って…私の生活を見られてたって事!?




更「付けたのは伊吹さんだけど、報告を受けたのは私よ。さっきも言ったけど貴方の事は任されていますからね。
あれから…随分親密になったのねぇ。碧唯君と」


つ「…そんな…」


更「私に迷惑がかからなければ、貴方達兄妹の事に興味はないのよ。ただ…得になる事は私好きよ」



得になる…?




更「伊吹さん、碧唯君の事気に入ってたわよ。病院の跡取りなんでしょ?だから、碧唯君と仲良くしてるみたいって伝えたら、伊吹さん嬉しそうにしてたわ」




…碧唯の事、跡取りって思ってるんだ。

碧唯の事も…いつか利用するつもりなのかな…





更「ご機嫌だったから、テストの件もお咎め無しだったのよ。でなければまた…クスッ」


つ「そんなっ…5位以内には入りましたよ!?」


更「伊吹さんの機嫌が気まぐれな事…貴方が良く分かってるんじゃなくて?
遅れるわ、出してちょうだい」


つ「更紗さん!」


更「碧唯君、私も好きよ?だからさくらさん。碧唯君と仲良くね」




そう言って、車は走り出した。



写真を握りしめた私を残して。