つ「料金…高い方が良いんですか?」


更「あら、質問してるのは私よ?」


つ「…安くなったのに、別に理由なんてありません」




更紗さんにこんな嘘が通用するとは思わない。何かあったと思ったから私に聞いてるんだ。



更「…まぁ良いわ。本題に入りましょ」


つ「本題?」


更「そんな事で呼び出さないわよ。私も暇ではないからね」



煙草に火を付けて、私を見る。


更「お母様の一周忌、夏が終わったらすぐ来るわよね?伊吹さんが、仕事があるからお母様の一周忌は特には何もしないって言ってるの。つぐみさんもそれで良くって?」



フーッと煙草の煙りを横に吐き、私に聞く。



お母さんの一周忌…特に何もしない気なんだ。


まぁ…伊吹に対して期待もしてなかったけど。



つ「…分かりました」


更「そ。ならそう伊吹さんに伝えるわ。話しはそれだけよ」




更紗さんは煙草を灰皿に押し付けて火を消し、伝票を取って立ち上がった。



更「仕事の途中なのよ。悪いけど、帰りは1人で帰ってくれるかしら?」


つ「…はい」


更「じゃあまたね。つぐみさん」




私は顔を見ず、ただ頭を下げて彼女が立ち去るのを待った。