すると携帯が鳴った。
私は急いで電話に出る。

「お母さん!?」

「・・・・・」

「返事してよ!」

「ごめんね、里穂。お金は毎月送るから」

そう言って電話は切れた。
意味がわからない。


「ごめんね、里穂」
「お金は毎月送るから」

は?意味わかりません。
親のくせに子供ほっぽりだして逃げるのかよ。
まだ幼稚園児の健志がどれだけ泣いたか。
わかってんのかよ、ばばあ。

私はかなりいらついていた。

携帯をソファーに投げた。
キーホルダーの鈴が鳴る。

そのキーホルダーは家族で旅行に行った時の物で家族でお揃いで買った。

今ではバラバラ家族。

「ふざけんな・・・」


私は泣きながら周りの物を投げた。

割れる写真立て、落ちる雑誌。

私はどうでもよくなっていた。