私は泣いていた。
私の知らないところで、いろんなことが動いていた。
自分は本当に最低な人間だ。
「私…最低だ」
「俺はそうは思わない」
彼はそう言って抱きしめていた手を緩め、私の顔を見た。
「やっと手に入ったんだ。遠回りしたけど、好きな奴に辿り着いたんだ」
私の涙を拭きながら言う彼。
「絶対に泣かせない。ずっと好きだった」
真っ直ぐ、強い言葉。
私の中にスーッと入ってくる。
「華夜が好きだ」
真剣な彼の顔。
「私…」
言う前に彼の顔が近づいてきて、キスをされた。
「俺と付き合って」
私だって好き。
本当に大好きだったんだから。
「私もずっと好きでした」
そう言ってまたキスをした。
私たちは周りに助けられていた。
紗月と聡君がいたからだ。
でも私だけこんなの、不公平だ。
優しすぎる彼女たち。
本当に感謝しなければならない。
だからちゃんと言おう。
“ありがとう”って。