本当はもっとケンカになると思った。
それを覚悟していた。
なのに、思った以上に彼女は強かった。
強くなっていた。
その分、自分が弱くなっていた。
今笑っている彼女のようになりたいと思った。
「北山君のことちゃんとしないとね」
そうだ。
聡君には本当に悪い事をしている。
だからちゃんと言わなくては…。
でも…。
「ゆっくりでいいと思うよ!」
北山君は待ってくれるよ、と彼女は言ってくれた。
何故か全てにおいて複雑だった。
でもちゃんと聡君とは話さなければならない。
それは分かっている。
このままじゃさらに聡君を苦しめてしまう。
それだけはしたくない。
ちゃんと整理してから話そう。
今は会わないほうがいい。
私は小さく決心をした。
そして私が決心している中、紗月も何かを決心していただなんて私は知らなかった。