「ありがとう、華夜」
そして何故か紗月はお礼を言った。
「どう…して?」
「ちゃんと話してくれて」
「私は黙ってたんだよ!」
いつになく叫んでしまった。
私らしくない。
「華夜は優しいね。今も昔も…」
どうして彼女はここまで強いのだろうか。
なんで怒らないの。
なんでもっと言わないの?
言いたいことなんてたくさんあるはず。
わたしだったらあったと思う。
なのに、“優しい”って。
優しいのは紗月なのに…。
「私のために黙っててくれたんだよね?」
誰よりも分かってくれる親友。
紗月は私を抱きしめた。