いきなり腕を捕まれてバランスを崩したあたしは当然のように藤栄君の腕の中に収まった。

不覚…。

「ちょっ…離しなさいよ!!」

あたしの顔が赤くなるのが自分でもわかった。

「これからずーっと想って呼ぶんなら離す」

ちょっとそれは強引すぎるでしょうが!

「わかった!わかったわよ!想!!」

「うん。」

あっさり…

でももうこんなの嫌だ…。
これからは嫌でも想って呼ぼう…

きっとそのうち慣れるよね?

「じゃあ帰ろうか」

「うん。じゃあバイバイ」

そう言って今度こそ店を出ようとした。

「いやちょっと待てよ」

「は?今度はなんなの?」

若干呆れ気味に聞き返す

「彼氏だろ?彼女だろ?」

「一応ね」

「彼氏が彼女を送るのは普通!」

変なこだわり

口には出さないけどね!

「はいはい」

「じゃあ手を繋ごうか」

「はいは…」

はい?