「朝倉?」

「あまちゃん……」

あまちゃんが周りを見渡す。
先生も生徒も誰もいない。

「帰んないの?」

「帰りたくない。一人でなんて嫌だ」

「藤栄と…何かあった?」

「あのね…」

ぶわっと涙が溢れ出す。

あー……あたしこんなに我慢してたんだ。

「想がっ……」

そしてあたしはあまちゃんに話した。
あたしの思い。
見たこと、寂しかったこと。

全て。

「智葉が寂しがりなこと…藤栄も知らない筈無いのにな」

想は、あたしよりあの友達と帰りたいの?
一緒にいたいの?

「智葉、今日から明後日まで家に泊まれ」

「あまちゃ「喜ぶから」

誰がとは言わない
けど…
わかる。

「翔ちゃんありがとうね」

久しぶりにはっきりと口にしたその名前。
なんだかこそばゆくて……でもなんだか心があったかくなる。