とにかく走った。
自転車やらバスやら、もっと楽な移動手段があるはずなのに、とにかく走った。
走りたかったんだ。

この風を感じて、智葉を想いながら、走りたかったんだ。

「はぁ、はぁ」

口が閉じれない。
苦しい。
気持ち悪い。

俺は立ち止まった。
もう、走れない。

そこからはゆっくり歩くことにした。
ついでだ、最高のプロポーズの言葉でも考えておこうか?

「……プロポーズ、な」

俺っぽくて、智葉にちゃんと伝わって……
そうだな、“俺たちらしい”そんな言葉で、想いを伝えたい。

別に無理に綺麗な言葉とか、喜ばせようとか、しなくていい。
一番大切なのはソレが相手に伝わるか伝わらないかだ。

そもそも結婚したい相手に『結婚して下さい』なんて言われたらどんなありきたりな言葉でも嬉しいはずだろ?