側にいても、そう思うことがあるのに
どこにいるかわからないような相手に、それを思うのはおかしくないはず。

なのに、少しでも疑っている自分が憎い。
疑うのは……愛していない証拠だと、誰かが言ったのを聞いたことがある。

別にその言葉に惑わされているわけじゃない。
むしろ愛しているからこそ、疑ってしまうんじゃないかって。

好きだからこそ、不安になるんだ。

そう思うのに、やっぱり智葉を疑うのが嫌で嫌で仕方がない。
なのに疑ってしまう。

そんな矛盾が俺の中で葛藤中。

「指輪、か」

婚約指輪……別にすっかり忘れてた訳じゃない。
疑う俺が、先伸ばしにしたんだ。

馬鹿か俺は。

深い深呼吸を一回して、俺は財布と携帯だけ咄嗟に掴み、何も考えずに家を飛び出した。(勿論鍵は閉めたけどな)