「ちょっと待ってろ」

それだけ言うと想はあたしの返事も聞かずに走っていってしまった。

「え!?」


あ…行っちゃった。

あたし一人残して…
理由くらい言ってくれてもよかったのに…

酷いよ
寂しいじゃん。

ああ…もう完全にこの数日間で想がいる生活に慣れてきてしまってる。

もう…一人の時間なんて思い出したくないくらい
今がすごくすごく幸せだから…。

「智葉!」

想の声と同時に
ふわっ
とあたしの前に差し出されたのは…
かわいらしい花だった。

まさか…

「摘んだの?」

「うん。あ、持ち帰り自由だって此処」

ならよかった…って

「くれるの?」

「おう!何?寂しかったとか?」

もう!そんなニヤニヤしながら聞かないでよバカ!

「別に寂しくなんてなかったし!」

また強がってかわいくないこという。