「ほらっ」
スイスイとヨーヨーをとるたける。
「すごい桜井くん!」
かなも関心してる。
あたしにとっては3つもとれてるかなも十分すごいよ。
それにしてもたけるにこんな才能があったとは!
「やるっ」
すこしなげやりにヨーヨーを渡される。
「ありがとう」
とうめいにピンクのストライプ模様のヨーヨー。かわいい。
「なんか食べる?」
「うんそーだね」
あたりもすっかり暗くなってきて人も増えてきた。
「はぐれるなよ」
「はぐれないよ」
……。
そう言ってたのにな…。
焼きそばを買いに行く途中、かなとたけるとはぐれた。
¨はぐれないよ¨少しむきになってそう言ったのに…。
たけるはやっぱなってあきれてるだろうな。
はぁ、どこにいればいいんだろう…。
人混みの中自分の意思とはまったく反対の方向に歩いている。
てか無理矢理歩かせられてる。
あー止まれない。
かなたちのとこにもどりたい。
あたしこのまま人混みの中をさまようのかな。
ブチッ。
鼻緒が思いっきり切れる音がした。
どうしよ…。
歩けない……けど止まれない。
下駄がぬげそう。
やばい…。
ぎゅ。
え?
後ろからぎゅっと腕をつかまれ止まる。
周りでは溢れかえる人たちが止まることを知らないように歩き続けている。
振りかえったあたしは目を疑った。
なんで…?
目の前いたのはまぎれもない…隼ニさんだった。
あの輝く瞳…
金髪…
ピアス…
高い背…
優しく大きな手…
あの隼ニさん…。
隼ニさんと初めて会ったあの日から1ヶ月が経とうとしていた。
やっとまた会えた。
「やっぱ李亜だった」
そう言って笑った隼ニさんの笑顔はあの時と全然かわっていなかった。
変わらず吸い込まれそうだった。
「大丈夫か?」
そう言って軽々とあたしをお姫様だっこする。
通りすがる人みんなあたしたちをみる。