「じゃあ李亜って呼ぶわ」
そう言ってあたしの頭をくしゃってした。
「はい!あたしは隼ニさんって呼びますね」
「さんつけなくていいって」
「だって隼ニさん年上ですよね?」
「まぁ俺は20歳だけど」
やっぱり!5歳も上なんだ!!
大人だなぁ。

「李亜、時間大丈夫か?」
「あ、そうですね。じゃあ手当てしますね」
あたしすっかり手当てのこと忘れちゃってた。

「ちょっとしみるかもしれないですけど我慢してくださいね」
血がにじんでいるほおに消毒液をできるだけ優しくつける。
「いっ…て」
「ごめんなさい」
「李亜が謝ることじゃねぇよ」

真剣な顔して言う隼ニさん。
すごく顔近い。
あわてて目をそらす。




「はい。できました」
「さんきゅー」
「じゃあ今日はほんとにありがとうございました」

帰ろうとすると
「まて、送ってく。こんなとこまで来させちゃたしな」
「…はい」

そんなこと言ってくれるなんて思ってなかったからすごい嬉しい。


夜の道。
となりで並んで歩く。
あたしの方がすこし後ろで。
後ろ姿もやっぱり大人っぽいな。
手も背もすごく大きくて…。


こんな夜の道
一人だったらきっと恐いだろうな。
でも今は隼ニさんがいる。
今日会ったばかりの人なのにすごく安心する。


もうすぐ家着いちゃうな…。
ちょっと遅く歩いたりしてみる。


「どした?」
それに気づいたのか隼ニさんは心配そうにあたしをみた。
「いえ、なんでもないです」
そう言って隼ニさんのよこまで小走りした。




「じゃあありがとうございました」