「ほらじゃ行くぞ。家まで送ってやるから」
差し出された手をぎゅっと握る。

なんかカップルみたい。
そんなことを勝手に考えながら歩く。



「家ここです」
「そっか、じゃあな」
「ちょっと待ってください!手当しますから。どうぞ家に入ってください。」
あたしだけ助けてもらっちゃって…何かお礼したいもん。
「いいよこんぐらい。しかも俺みたいのが家入ったら親心配すんぞ」
「そんなことないですよ。じゃあすぐに救急箱持ってきますから待っててくださいね」

笑顔でうなずいてくれた。


家の入り救急箱を探す。
なんか…
あの人といるとドキドキする…。
どうしてだろう…。
恐そうな人なのに。
でもすごく優しい目をしてる。


「おまたせしま…」
あれ?
いない!!
どこいっちゃったんだろあんな傷のまま。
まだ近くにいるかもしれない。

ドンッ

あわてて飛び出したら誰かにぶつかった。
「ごめんなさい」
「あ…飯田じゃん」
なんだぁたけるかぁ。
小学校からの幼なじみの桜井猛。
高校もおんなじで家も近い。
「どした?そんな顔して?」
「あ!あのさその辺で傷だらけの不良みたいな人見なかった?」
「えっ?傷だらけ?!恐そうな人!?」
「うん!いなかった?」
「あっちの方に歩いてく人ならみたけど…っておい!飯田!!」

たけるの話が終わる前に指さした方に走っていく。
なんかわかんないけど追いかけたい。


はぁはぁ。
夜の暗い道を走って走って…。

あ…。
「いた…」
ま…って。
ぎゅっと腕をつかむ。

おどろいた顔してあたしの顔をみる。
「な…んで。行っちゃうん…ですか?」
息を切らしながら言う。
「…」
「手当てするって言ったじゃないですか」
どうしてこんなにも追いかけたかったんだろう。
「すんげー息きれてんぞ。ほらここ座って落ち着け」
「あ、はい…」