「飯田?」
「どうした飯田?授業中だぞー」

あ……
どうしよ…

でも隼ニさんに会いたい。
隼ニさんのとこに行きたい。

「えっと…頭痛くて……保健室行ってきます…」
とっさにそう言い教室を飛び出した。
ふつー頭痛い人走ったりしないよね…。



「隼ニさん!」
息をきらしながら隼ニさんのもとへ走った。

「李亜!」
「どうしてここに?」
「李亜に会いたいって言ったろ?だからデートしに来た」

隼ニさんとデート。
それも初デート。
学校をサボって。

「じゃあ後ろ乗れ」
バイクを指さす。
すごく大きくてかっこいいバイク。


隼ニさんの後ろ。
バイクで風を切る。
初夏のいい天気。

隼ニさんの香水のカオリがする。
大人っぽくていい香り。 背中にぎゅっとしがみつく。
大きくてしっかりしてて落ち着く。
ずっとこの日々が続きますようにそう願った。



あ!
「隼ニさん!みて海!」
きれい。
ひさしぶりの海。
青い空と青い海…
境界線がきれい。

誰もいない海
隼ニさんと2人きり。
砂浜に制服のまま座る。

「超きれいだな」
「そうですね。それに静かでいいですね」

聞こえるのは波の音だけ。

2人きりの世界…。



ふわ。

隼ニさんが手を握る。

「キスしてい?」

ドキンドキン…。

「…はい」


海のように優しいキス。つつみこまれる。


「……ん…」
思わず声が出る。
唇が離れる。
「やっべそんな声されてそんな顔されたら、俺とまんねぇよ」

顔を赤くする隼ニさん。

今度はすこし激しいキス。
キスの勢いで砂浜に倒れこんだ。


あたしの目を見つめ隼ニさんは停止した。
「やべ…。このままじゃここでやっちまいそうだわ…」

あわてて立ち上がる隼ニさん。

「ごめん李亜。やりすぎた。大丈夫か?」

手を引っ張り起き上がらしてくれる。

「はい…大丈夫です」

はぁドキドキが止まらないよ。
隼ニさんも顔赤い。



「なぁ、俺のこと隼ニでいいから。あと敬語なんていらねぇよ」
優しい目であたしをみて言う。

「はい」
あ!
「また敬語使っちゃった」
「可愛いな、李亜」
笑いだす。

「今度敬語使ったりさんつけたりしたら罰ゲームな」
いじわるく笑う隼ニ。

「うん!」