「李亜最近好きな人でもできた?」
夕食の時急にお母さんが聞いてきた。
思わずごはんがのどにつまる。
「その反応からすると図星みたいね」
なんで?
どうしてバレるの?
「なんでわかったの?」
「見てればわかる。あんたのことは何でもわかるのよねぇ」
すこしいじわるく笑う。
お母さん…すごいな。
隠し事はたしかに前からできなかった。
小学生の初めて好きな人ができたときもバレた。
いつも好きな人ができると変わらずお母さんにそう言われた。
「で、誰なの?もしかしてたけるくん?小さい頃から一緒だったもんね」
またごはんがつまる。
「あら?まさか当たった?」
「ちがーうー」
「じゃあなんでそんな反応するのよ」
「ちがうもん」
「ふーんたけるくん、いい子だと思うけどね」
たしかにたけるは優しいしいいやつだけど。
たけるは友達だもん。
「じゃあ誰なの?」
「…あの時助けてくれた人」
「李亜が不良に絡まれたとき?」
「うん、そ」
「だから。普通絡まれたりしたら男の人恐怖症になったり学校行けなくなったりするのに、李亜は全然大丈夫な顔してたのね」
そりゃあすごくすごく恐かった。
でもそれ以上に助けてくれた正義の見方にひかれた。
隼ニさんに…。
「好きな人ができるのはいいけど不良だけはだめよ」
ドキッ。
隼ニさんは不良じゃないもん。
すごく優しい人だもん。
「お父さんだって李亜のこと心配なんだから」
「はーい」
すこし適当にいって食器を片付け始める。
部屋に戻るとメールが入ってた。
すぐにケータイを手にとった。
あ…
「隼ニさんからだ」
相澤隼ニ。その文字を見ただけで胸がたかなった。
¨あした学校?¨
ただ一言そう送られてきた。
¨あした学校ですよ。どうしたんですか?¨
そう送るとすぐに返信がきた。
¨そっか。李亜に会いたい¨
ドキン。
あたしに会いたい…。
嬉しくてにやけた。
あたしも隼ニさんに会いたい。