そこからは、富士山はもちろん、相模湾に駿河湾、そして片桐が言っていた伊豆諸島までもハッキリ見えて…

「どうよキヨスク、この景観は?」

「うん。スゲー。」

「だろ!」

「あれって何島?」

「大島。で、あれが…」


佳菜子ほどはしゃいではいないが、それなりに興味を示している清瀬を、片桐は見逃さなかった。


「な、やっぱ来て良かったろ?」

「まあ。」

「ホラ!俺に何かひと言ない?」

「…ガキだなぁ。」

「なんだとコラ!」

「別に俺、ヤダとは言ってねーし。」

「じゃあ、分かりやすく感動しろよー。若いんだから、もっとこうハジケろハジケろー!」

「うっさいなぁ。いーじゃんか、そんな…片桐くんこそ少し落ち着いたら?」

「はぁ?」

「ぷっ!」

「!佳菜、今笑った?」

「ん?」

「笑ったよなぁ?」

「私じゃないよ。」

「じゃあ、誰だよ?」

「さぁ?」


こんな会話でも、今日、三人で来て良かったと思う佳菜子だった。