クルマから降りると、

「ん〜〜ん!」

富士山に向かい、揃って伸びをする三人。


なかでも、
特に身体を動かしてみせる片桐に、

「(ずっと運転だもんね…)疲れたでしょ?」

佳菜子が声をかけた。

すると、

「いや。いつ来てもココは良い所だから。」

「!」


その言葉に引っ掛かった清瀬が、単純に質問する。

「どんだけ来てんだよ?」

「!(ばか!何を聞いちゃってんの!それは禁句でしょ!)あはは…………」


清瀬にしてみれば、決して悪意の無い、素直な疑問だったのだろうが、

「伊豆は、ダイビングを始めるきっかけになった場所なんだ。」

「へー。(もう、余計なこと聞かないでよね!)なんか思い出でもあるの?(あっ!私が聞いちゃったよ!)」

「初心に帰る場所っつーの?」

「あ〜!ね〜!必要!そーゆーの必要!(必死だな〜私。)あ、写真撮ろっかな!」

「なら二人並べよ。撮ってやるから。」

「…そ?じゃあ、よろしく。」


きっと、他の女の子とも来てるに違いなく…

そんなこと百も承知でも、
本人の口からは聞きたくないことであり、
もし、へんに言い訳されたなら、余計にムカつくことくらい、
いくら佳菜子でも予想がついた。