そして朝がやってきた。


「うっし!行くか!」

「俺、運転変わろっか?」

「そーだよ。清瀬のクルマなんだからさぁ。(遠慮することないのに…)」


佳菜子はスキーの帰り道のことを思い出していたが、

「まだ大丈夫なのだ〜!」

結局、片桐の運転で、熱海峠へと来た道を戻ることになり…

よく晴れた空の下、すでに料金所付近から、富士山が目に入ってきた途端、

「わぁ〜!ナマフジ〜!」

佳菜子の心配も、どこかへ吹っ飛んでいってしまったようだ。


「やっぱこの道は、富士に向かって走るこっち側がいいよなぁ!」

「う〜ん!すごいハッキリ見えるぅ!」

「なぁ!」


妙にテンションもあがり、
夜中には気が付かなかった、

「わ〜!桜!これってもう、満開?」

「んにゃ。」

桜並木にすら感動してしまう。


昨夜に買っておいたパンや、おむすびを食べながら、
クルマから降りなくても景色を楽しんでいたが、

「ここから見る富士山、すごく綺麗じゃない?!」

「降りて写メとるか?」


せっかくだから、西丹那駐車場でクルマを止め、降り立ってみることにした。