いつしかクルマは、東名高速道へと入っていき、

「…伊豆?」

「う、は、は、は…」


途中、休憩がてらにサービスエリアへ立ち寄り、まだ営業中の店内で土産物を見て回るなどしては、
ドライブ気分を満喫する三人。


佳菜子には、今までに無い経験だ。


「片桐くんてさ、一人旅ってしたことある?ほら、目的も無しに、ふら〜ってやつ。」

「目的ナシってのは無いなぁ。」

「もう何ヵ国くらい行ってんの?」

「ん…4、5ヶ国?全部潜り目的だよ。」

「へー。いーなー。」

「おまえ無いの?」

「姉貴の中学受験合格記念に、家族でハワイに行っただけ。」

「あれ?」

「俺は親孝行だから、あんまり金かかってないの。」

「綾ちゃんとはデキが違うもんね〜」

「うるせっ!」

「ふ〜んだ!…あ、ちょっと待ってて!コーヒー飲んだら、またトイレ行きたくなった。」

「ん。急がなくても大丈夫だよ。ゆっくりどーぞ。」

「はーい。」



佳菜子がトイレに向かい、片桐と清瀬は二人きりに…

すると突然、

「堀口の親のことなんだけどさ」

清瀬が話しはじめた。


「ただ厳しいワケでもないんだ…」

「ん?」