そんなこんなで、
なぜか、三人でのドライブが決行された。


「佳菜、夜なのに、よく親が許してくれたなぁ。」

「あ…清瀬が一緒だったから。」

「…」


前回のスキーの時、佳菜子を無事に送りとどけたことで、信頼を得てはいるものの、

「かーくんも一緒だよ。」

たったこの一言の方が、
夜の外出を簡単に承諾させる力があることを実感させられ、


「ったく。なんなんだよ…」

「ま、歴史があるから。」

「キヨスク!おまえが言うな!」


運転する清瀬に向かって、助手席からちょっかいを出す片桐。


その光景を、後ろで黙って見届ける佳菜子の胸中は複雑だった。


ゆっことの件はもちろんのこと、
大沢とも付き合いがある清瀬は、佳菜子にとって、気の抜けない存在だ。


なのに、男同士というのは、なぜこうも単純なのだろうか…

ひとつ趣味や話が合っただけで、全てを分かり合ったかのように仲良くなれる生きものらしい。


佳菜子からしてみれば、
何がきっかけで、何がそんなに楽しいのか、全くもって分からず、

どこに向かっているのかも告げられないまま、
後部座席で一人、
聞き耳を立てながら、流れる景色を眺めていた。