数時間後…

片桐の携帯電話が鳴り、
駅まで送りとどけた佳菜子の名が表示されていた。


「あい…」

「今、何してる?」

「!」


それは、無理に高い声を出す、男の声で、

「…キヨスクだろ!」

「よくお分りで。」

「何してんだよ。」

「土産受け取ったナウ。」

「てめ、(わざとだろ?人の弱点を…)」

「そっちは?」

「寝てたよ。」

「明日ってなんかあんの?」

「バイト。…なんで?」

「そっか。じゃあしゃーないか。今からちょっと彼女借りるわ。」

「はぁ?!」

「車検からクルマが戻ってきたから、ちょっとドライブにでも」

「ちょちょちょ!なんだよそれ?俺も行くよ!」

「明日バイトなんだろ?」

「夜だから大丈夫だよ!つーか、佳菜に変われ!」

「はいはい。」

「…もしもし?」

「おまえ、何やってんだよ!」

「だって、渡しといてって言ったじゃん。お礼が言いたいって言うから、」

「ドライブって何だよ?!」

「試運転。」

「何で一緒に?って聞いてんだよ!」

「大地くんちに向ってるの!でも、いまいち分からないから電話で聞こうってことになってね!」

「…あ、そーなの?」

「清瀬に変わるね!」